経済産業省から公表された調査アンケートの集計結果を参考にキャッシュレス決済の実態をご紹介します。
キャッシュレス決済 実態調査
調査概要
調査:経済産業省 商務・サービスグループ キャッシュレス推進室
期間:2021年1月27日から2021年3月31日
回答数:1,189社が回答
地域:全国
業種:全業種
方法:WEBアンケート
導入状況
いづれかのキャッシュレス決済を導入している事業者は約7割。
種類 | 導入している | 客単価 |
---|---|---|
クレジットカード | 55% | 数千円から5万円未満の導入率が高い。 |
交通系電子マネー | 25% | 数千円程度の単価帯で導入率が高い。 |
非交通系電子マネー | 25% | 5千円から1万円程度の単価帯で導入率が高い。 |
コード決済 | 55% | 3千円未満の単価帯で導入率が高い。 |
どのキャッシュレス決済でも高額単価の事業者では導入率が低いとの結果が得られています。
客単価別
客単価別のキャッシュレス決済導入状況です。
客単価 | クレジットカード | 交通系電子マネー | コード決済 |
---|---|---|---|
1000円未満 | 36.5% | 21.2% | 59.9% |
1000円以上3000円未満 | 57.4% | 30.1% | 66.3% |
3000円以上5000円未満 | 66.3% | 28.0% | 61.1% |
5000円以上1万円未満 | 74.0% | 36.6% | 61.8% |
1万円以上5万円未満 | 66.0% | 23.0% | 52.4% |
5万円以上10万円未満 | 53.1% | 26.5% | 44.9% |
10万円以上 | 16.8% | 5.8% | 12.4% |
客単価が比較的低いお店では、キャッシュレス決済端末の導入が他の店との差別化に繋がります。
業種別での導入状況の違い
飲食業・小売業・観光業などでのキャッシュレス化が進んでいる一方、サービス業や一次産業、製造業、建設業、卸売業などであまり導入が進んでいない状況です。
業種 | 導入している |
---|---|
飲食店 | 85.4% |
食品小売 | 78.8% |
その他小売 | 88.3% |
観光 | 86.7% |
公共機関 | 66.2% |
その他サービス業 | 63.8% |
その他 | 34.6% |
売上別状況
中規模事業者でキャッシュレス決済の導入率が高いようですが、売上が1,000万円未満の事業者では、まだまだキャッシュレス決済の導入率が低いようです。
売上 | 導入状況 |
---|---|
1000万円未満 | 64.9% |
1000万円以上5000万円未満 | 78.5% |
5000万円以上1億円未満 | 79.3% |
1億円以上3億円未満 | 69.4% |
3億円以上5億円未満 | 71.7% |
5億円以上10億円未満 | 60.5% |
10億円以上 | 54.2% |
キャッシュレス決済手数料
キャッシュレス決済の手数料率は、3%台前半が多いようです。
これは、国のポイント還元事業において3.25%以下を参加要件とした事が効果をだしているとみられています。
国内においては、今後もキャッシュレス決済について継続的な推進政策が予想されます。
現在、手数料率が4%以上であれば、違うキャッシュレス決済への変更をお勧めします。
事業者が求めるキャッシュレス決済の導入条件
手数料率
手数料率の上限は2%台までと考えている事業者が8割を超えていて、現在の多くのキャッシュレス決済の手数料率とは少しギャップがあるようです。
入金サイクル
振込手数料が有料の場合は、月に1回から2回の入金サイクルでも対応可能とする事業者が約8割を占めています。
やはり、振込手数料をなるべく取られたくないという気持ちが影響しています。
最近では、振込手数料が無料のキャッシュレス決済サービスもありますが、こちらだと月1回から2回の入金サイクルでも対応可能とする事業者が約6割に下がり、週1回や毎日の割合が高くなります。
事業者からは、振込手数料が無料で少しでも早く入金されるキャッシュレス決済が求められています。
まとめ
キャッシュレス化が進めば、私達の生活がもっと便利になるのは間違いありません。
キャッシュレス決済のさらなる普及には、これまでのポイント還元事業のような政策による起爆剤が必要です。
今後のさらなるキャッシュレス化推進事業により、振込手数料率が事業者が求める2%台になることを期待しましょう。
参考資料:経済産業省「キャッシュレス決済実態調査アンケートを行いました。」